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第1回 モデル業界のプロフェッショナルズ | ミシェルエンターテイメント (ファッションモデル事務所)
ファッションモデル事務所ミシェルエンターテイメント代表 吉永弥生 「モデルたちは私にとって仲間」
![]() 「ミシェルでは年に10回ぐらいモデルのコンポジを作り変えるんですよ。」 新しく撮影したモデルの宣材写真にマークを付けながら、吉永弥生社長が言う。 「広告系の仕事では、もう印刷版のコンポジはほとんど必要ないので、PDF版のコンポジを撮影するたびに変更するんです。」 現在ミシェルエンターテイメントに専属するモデルは現在約20人。そして双子のキッズモデルがいる。その中でも主戦力として活動する6人のモデルが同席してくれた。まず、この事務所に所属するモデルの特徴を聞いてみた。 「特定のジャンルだけでなく、オールラウンドにやれるモデルを育てたいと思っています。ショー、スチール、映像もできるモデルですね。ソフトな部分なので、パッと見ただけでは分かりづらいかもしれません。例えば、英語力にもこだわっているんですが、それは見えないですからね。」 吉永さんは所属モデルの海老沼由浦さんを指しながら、続ける。 「もう一つは、内面を重視していることですね。正直、このレベルで可愛い女の子って東京にはけっこういるじゃないですか。」 ![]() 海老沼由浦(モデル) "内面を重視する"とは、多くのモデル事務所関係者から聞く言葉なのだが、見た目でほとんどが決まってしまうようなこの業界のどこで、"内面"が大切になるのだろうか? 「ケイトモスぐらいのレベルだったら、多少のことは許されるかもしれません。でも、どんな仕事でも『絶対にこのモデルじゃないとダメ』というケースはとても少なく、モデルの交換など簡単です。だからこそ、現場で仕事をリピートしていくには内面が大切なんです。まだキャリアがないモデルには、まず自分が一番下っ端だと思って現場へ行きなさい、と教えています。」 吉永さんは、所属モデルと電話で話すとき、もしそのモデルから挨拶がなかったら、用件の前にまずそこを指摘すると言う。 「広告やCMの仕事には、芸能事務所の女の子も多いですから、彼女たちの愛嬌力に負けないようにするには、礼儀正しさに気をつけることです。クライアントからのモデルの評価は、そのまま事務所の評価になってしまい、他の所属モデルの評価にもなってしまうんです。クライアントの方たちは、モデルの言動をしっかり見ていらっしゃいますから。」 なるほど。では、オレゴン州から来たアメリカ人所属モデル、ニコラス君はどうなるのだろう? 話かけてみると、驚くほど丁寧な日本語を話す。 「彼のハートもかなり日本人ですよ。武士道を持ってるって言うか(笑)。」 確かに彼のような律儀な外国人モデルは、珍しいかもしれない。 ![]() ニコラス・エドワーズ(モデル) モデルのルックスや外見には、選ぶ基準があるのだろうか? 「選ぶルックスに特別な基準はありません。私の好みですね・・・。それぞれの事務所さんには特有のルックスがあるんですけど、私の場合は、ちょっと変わった顔が好きかもしれません(笑)。」 特別な基準がないと聞いて、所属モデルさんたちを見渡してみると、例えば、沖縄出身で黒髪のイオリさんが持つエスニックな全体感と、キュートでポップなショートヘアの小宮さんは、モデルのタイプとしては確かに対照的である。 「強いて基準を言うなら、25歳ぐらいで、身長は170センチ前後で、顔が小さくて、プロポーションがいいことですね。それから、個人的にはショートヘアが好です。」 ショートヘアの小宮さんを選んだ理由は、その個人的な好みがあるのかと聞いてみると、 「この子がロングだったら、切ったほうがいいよって絶対言ってました(笑)。きっと、ショートのときに出会ったという何かの縁があったのだと思います。」 ところで、「25歳ぐらい」が好みだと吉永さんは言ったが、これはモデルの年齢としては、決して若くない。なぜその歳を好むのだろうか? 「社会常識のあるモデルを優先しているからです。そして、若い子は『熱しやすく冷めやすい』傾向があります。すぐにやめちゃったりするモデルには若い子が多いので、モデルという仕事をライフワークとして考えられる子を優先しています。あと、モデルレッスンは受けてもらいたいです。やはり、私たちは『職人』なので、ウォーキングなどのモデルとして必要なスキルを習得して欲しいです。」 所属候補のモデルはどこで見つけるのだろう? 「現在はだいたい8割が紹介です。そして、残りがホームページなどからの応募ですね。」 8割が紹介・・・。やはりコネクションが大切な業界だ。 ![]() 小宮衣理(モデル) 小宮さんはモデルスクールでレッスンを受けていて、スカウトされたと聞く。そのモデルスクールとは、所属モデルである月乃さんが代表を務める、モデル / フィニッシングスクール「センス」だ。彼女はミシェルエンターテイメントのモデルとしてだけでなく、タレント、経営者、講師など、多くの顔を持っている。 「私はもともと、自分の外見とかにあまり自信がありませんでした。でも、こうやってモデルに復帰できたり、メディアに出させてもらえるようになったり、自分が努力して歩いてきた道があります。だから私は、どんな女性にもチャンスがあると心から思っています。」 そう語る月乃さんの振る舞いには、女性のお手本になるような「エレガンス」がある。最近では、ドラマ「バラ色の聖戦」の出演女優たちにウォーキングレッスンを指導したと言う。モデル業界を舞台としたドラマなので、その影響でモデルになりたい女性が増えたりするのだろうか? 「増えるでしょうね。特にドラマの主役が『30歳で二児の母』という設定なので、これまで『25歳定年説』のせいで、モデルになることをあきらめた女性が再挑戦するきっかけになると思います。」 そう吉永さんは予想する。そして、このドラマではモデル同士が激しく争う様子も描かれているらしい。モデルの仕事を得るにはオーディションという形式が一般的だが、実際にライバル意識はどれぐらいあるのだろう? ![]() イオリ(モデル) 「受かる人数が少なければ少ないほど、オーディション会場でモデル同士のライバル意識は強いですね。知ってるモデルに会っても、お互いに当たり障りのない挨拶をするぐらいですから(笑)。でも、例えばファッションショーのように比較的多くのモデルが受かるオーディションでは、『一緒に受かるといいね』という仲間意識が生まれることがあります。」 所属モデルのAiKAさんが答える。 「オーディションに来れるだけでも、選ばれたモデルなんですよ。」 なるほど、書類審査の時点で通らない場合だってあるのだから。ちなみに、AiKAさんの身長は177センチ。ファッションモデルとして申し分ない高身長だが、これをコンプレックスに感じた時代もあったらしい。 「私の場合、中学三年生のときにすでに今の身長ぐらいあったんです。そのときは、さすがに嫌でしたね(笑)。制服がすぐに小さくなっちゃうし。」 こんなAiKAさんでも、海外デザイナーのショーでは177センチでも低いと言われることがあるらしい。 「一度、海外のデザイナーが来日して、180センチ以上のモデルを募集していたときに、179.5センチと書いてオーディションに行ったことがあります。そしたら、裸足で身長を測ることになってしまったので、もう背筋ピンピンに伸ばして頑張りましたよ(笑)。」 そのオーディションに受かったのかどうかまでは聞けなかった・・・。 AiKA(モデル)思い返せば、僕がミシェルエンターテイメントに取材をお願いしたのは、吉永さんのブログを読んでいたことがきっかけだった。モデル自身がインターネットでセルフプロモートすることについて聞いてみた。 「所属モデルたちには、ブログ、ツイッター、フェイスブック、全部活用して欲しいです。もちろん、モデルなのですから、まずは本分であるスチールで勝負してほしいという気持ちがありますけどね。でも、広告の仕事は読者モデルさんたちに押されているので、負けないようにしないと(笑)。」 確かに、ツイッターを例に挙げると、何千人ものフォロワーを持つ読者モデルがいたりする。やはりフォロワーを増やすことは、プロモーションにつながるのだろうか? 「自分が誰をフォローしているかによって、イメージができてしまうことがあるので、むやみにはフォローできないですね。結構慎重に選んでます。」 月乃さんとAiKAさんが口をそろえて言う。なるほど、イメージの大切なファッションモデル業界では、もっともな話だ。 ![]() 月乃(モデル) 「センスのモデルクラスでは、ブログの読者数アップ講座もあるんですよ!」 月乃さんが言う。モデルクラスで、ブログの読者数アップ講座!? 「読者モデルさんたちは、とても上手にブログを活用しているんですね。これからは、ファッションモデルもそういうったスキルが必要になってくるので、読者モデルさんたちを見習って、ブログの書き方とか、読者の集め方とかを教えてます。」 ファッションモデルもインターネットなどを利用してセルフプロモートすることが必要な時代なのかもしれない。 After Interviewモデル事務所を表現するときに「家族」という言葉がよく使われるが、ミシェルエンターテイメントには「チーム」という言葉が似合う。吉永さんと所属モデルたちの距離感は近く、仕事の話もプライベートな話も、とてもオープンに話している。 「主戦力として活動しているモデルたちは、私にとって仲間みたいなものです。だから、新しく所属してもらうモデルは、みんなで決めています。私が、『このモデルを入れようと思ってるんだけど、どう思う?』って、ここにいるモデルたちに聞いたりするんです。ちょっと変わってますよね(笑)。」 END
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